WindowsにPortable(ポータブル)版のGitをインストールする方法【管理者権限必要なし】

ポータブル版GitをWindowsにインストール git

ポータブル版『Git』は、USBメモリにインストールして様々な環境で使ったり、管理者権限のないWindowsへのインストールなどの用途に最適です。

Cドライブなどにインストールする通常版と少々手順が違いますので、WindowsへGitポータブル版をインストールする方法を解説していきます。

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Gitポータブル版のメリット

Gitをポータブル版で使用するメリットは以下の通り。基本的には複数台のPC上で同一環境を再現したり、利用制限のかかったPCで使用したりするのに向いています。

  • 複数台のPCがある場合、PCごとにインストールする必要がなくなる。
  • USBメモリにインストールしておいて起動すれば、外出先のPCでも利用できる。
  • DropBoxやOneDriveなどのクラウドで同期しておけば、USBメモリから起動する手間すらなくなる
  • 職場や学校など、管理者権限での実行が許可されていない環境でも利用できる

Gitポータブル版のインストール手順

Gitポータブル版のインストール手順としては、ざっくり以下の通りです。

Gitポータブル版インストール手順
  1. Git公式サイトより最新の『ポータブル版Git』のインストーラーをダウンロード
  2. インストール先を選択してインストール
  3. インストールしたGitを実行する
  4. Gitの動作を確認する
  5. Gitの$HOME変数を設定する
  6. (オプション)グローバル環境を設定する
  7. (オプション)SS環境を設定する
  8. (オプション)Gitにパスを通す

では、順番に見ていきましょう。

Step1. ポータブル版Gitのダウンロード

Git公式サイトより最新の『ポータブル版Git』のインストーラーをダウンロードします。

『Standalone Installer』が通常版、『Portable (“thumbdrive edition”)』がポータブル版です。

32ビットと64ビットがありますので、お使いのPCに合わせたものをダウンロードして下さい。

Git公式サイトからWindows用のポータブル版Gitをダウンロード
Git公式サイトからWindows用のポータブル版Gitをダウンロード

Step2. インストール先を選択してインストール

ダウンロードしたポータブル版Gitは、7z形式になっています。

ポータブル版Gitの実行ファイル(7z形式)

ダブルクリックして展開するとGitのインストール先を聞かれるので、任意の場所にインストールします。

わたしの場合はOneDriveで同期させたかったので、OneDriveフォルダにインストールしました。

Windows10や11では、7zファイルは自動で展開されます。

もしも手動で展開した場合、『post-install.bat』というファイルがあるはずなのでそれを実行してください。このファイルはGitの環境を整えるもので、実行後に消滅します。7zを自動展開した場合には自動で実行されています。

Step3. インストールしたGitを実行する

ここまできたら一度Gitの動作を確認しておきます。

インストール先フォルダにある以下のどちらかのプログラムを実行します。

  • git-bash.exe(Unix風)
  • git-cmd.exe(Windows風)
ポータブル版Gitで実行すべきシェルスクリプト

両者の違いはUnix風のシェルかWindows風のシェルかです。

動作の確認だけであれば、お好きな方を実行してください。以降の解説画像ではgit-bashを使用しています。

Step4. Gitの動作を確認する

開いたシェルに『git –version』と入力します。Gitの動作が正常であれば、インストールしたGitのバージョンが表示されるはずです。

> git --version
# 実行結果
git version 2.38.0.windows.1
git-bashでGitのバージョン確認
git-bashでGitのバージョン確認

Guiで操作したければ、インストールフォルダの『cmd\git-gui.exe』を実行するか、以下のコマンドを入力すればGit Guiが開きます。

> git gui

Step5. Gitの$HOME変数を設定する

Gitの$HOME変数とは

上記までの作業でGitのインストールは正常に終了していますが、このままだとGitの$HOME変数がWindowsのユーザーディレクトリ(通常は C:\Users\$USER)になっています。

現在の$HOMEは以下のコマンドで確認できます。

> echo $HOME

$HOMEはGitのグローバル設定やSSHの鍵などの個人設定を格納している場所です。

これがCドライブにあるユーザーディレクトリのままだと、せっかくUSBやOneDriveなどのクラウドにGitをインストールしたにも関わらず、設定ファイルは個々のPCで用意しないといけなくなります。

それを避ける為にGitの$HOME変数を書き変えます。一時的に書き変えるのであればシェル上で設定しても良いですが、今回の場合は永続的に書き変えたいところです。

Step5-1. $HOME用のフォルダを用意する

まず、Gitインストールフォルダに$HOME用のフォルダを作っておきます。Gitのコマンドはフォルダを作ってくれたりはしないので、既存のフォルダを指定しないとエラーとなります。

ここでは$HOME用のフォルダとして、『home』フォルダを作りました。

$HOME変数用の『home』フォルダを作成
$HOME変数用の『home』フォルダを作成

Step5-2. $HOME変数を上書きする

Gitインストールフォルダの『etc/profile』に設定を追記することで各種の設定を上書きできます。ファイル編集の際には、念のためデフォルトのファイルをコピーしておくと安心です。

『/etc/profile』を開き、末尾に以下を追記して下さい。

etc/profileファイルの書き変え
etc/profileファイルの書き変え
# Set up home
HOME=home

## 『HOME=』に続けて、適宜homeディレクトリまでのパスを記載する
エディタで『/etc/profile』に$HOME変数を追記
エディタで『/etc/profile』に$HOME変数を追記

Gitのインストールディレクトリ以下で作業をするのであれば、相対パスでの記載で大丈夫です。Gitのディレクトリ外で作業する場合は適宜パスを記載して下さい。

ファイルの書き変え後、Gitを再起動すれば$HOMEの環境が変更になっています。

複数のPCで同一のパスを記載したい場合、環境変数が便利です。
例えばOneDriveなら『OneDrive』という環境変数にOneDriveのインストールディレクトリが格納されているので、以下のように指定できます。

HOME=$OneDrive\\git\\home

Step6. (オプション)グローバル環境を設定する

ここから先は任意ですが、設定しておいた方が良い項目をいくつか設定していきます。

まずはグローバル環境として、ユーザー名とメールアドレスの設定を行います。git-bash.exeからコマンドで行う方法を紹介します。

> git config --global user.name "Your user name"
> git config --global user.email your@e_mail.com

上記で作成した『home』フォルダに『.gitconfig』というファイルが作成されれば成功です。

Step7 (オプション)SSH環境を設定する

Step7-1. 鍵ペアの作成を行う

次にSSH接続の環境を整えます。SSHで使う鍵ペアの作成を行います。実行すると秘密鍵と公開鍵の2つが作成されます。

こちらもgit-bash.exeから行う方法を紹介します。

> ssh-keygen -t rsa

Step7-2. 鍵の保存場所を入力する

上記コマンドを実行すると、鍵の保存場所を聞いてきます。何も指定しないと例によってユーザーディレクトリに鍵を作成してしまいますので、保存場所を指定します。

今回は『home/.ssh』というフォルダに先ほどの作業と同様、フォルダに保存する場合には先に該当のフォルダを作成しておいて下さい。

Generating public/private rsa key pair.
Enter file in which to save the key (/Users/(username)/.ssh/id_rsa):home/.ssh/id_rsa

入力するのは『home/.ssh/id_rsa』の部分です。

Step7-3. パスワードを設定する

次に聞いてくるのはパスフレーズの設定です。お好きなパスワードを2回入力すれば完了となります。

Enter passphrase (empty for no passphrase):******(任意のパスワード)
Enter same passphrase again:******(任意のパスワード)

これで『home/.ssh』フォルダの中に『id_rsa』と『id_rsa.pub』が作成されました。

Githubに鍵の登録などを行い、SSH接続を確立させます。

Step8. (オプション)Gitにパスを通す

インストールしたポータブルGitツール以外の開発環境からGitを扱おうとした場合、Windowsにパスを通しておかないとうまく動かないことが多くあります。

Windowsの環境変数『PATH』にGitのパスを追加しておきましょう。

Gitでは実行ファイルとしてcmdフォルダ内のファイルを使用しています。Windows環境変数の編集画面を開いたら、以下のパスを追加します。

(Gitインストールフォルダ)/cmd

WindowsにGitのポータブル版をインストールする手順は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。

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